宅建業法7 契約締結時期/広告開始時期制限
7契約締結時期の制限と広告開始時期の制限
宅建業者が未完成物件を取引する場合は,
・売買・交換の契約締結時期の制限(36条),
・自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限(33条の2第2号),
・手付金等保全措置(41条) の三つの制限があります。この三つの制限は混同しがちなので,きちんと整理しておきましょう。
売買・交換の契約締結時期の制限(36条)
・宅建業者は,宅地造成工事または建築工事の完了前は,工事に関して必要な法令で許可等の処分(開発許可・建築確認など)がなければ※1,売買・交換の契約を締結したり,売買・交換の契約の媒介・代理をすることはできない。
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限(33条の2第2号)
・宅建業者は,代金の5%超または1,000万円超の手付金等について手付金等保全措置を講じていれば,宅地造成工事または建築工事の完了前に,自ら売主として,宅建業者でない者と売買契約を締結することができる。
※1建築確認や開発許可での検査済証の交付までは要求されていない。検査済証の交付は建築確認や開発許可があった後に検査した上で交付されるものだからである。
(1)相手方による違い
1) 売買契約締結時期の制限は,相手方(買主)が宅建業者であっても,適用される。
2) 自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限,手付金等保全措置は,相手方(買主)が宅建業者の場合は,適用されない。
(2)適用される場合
売買契約締結時期の制限
・宅建業者が,売買・交換の契約を締結するとき
・宅建業者が,売買・交換の契約の媒介・代理をするとき
(宅建業者が,貸借の契約を締結するときや貸借の契約の媒介・代理のときは適用されない。)
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限
・宅建業者が,自ら売主として,買主が宅建業者ではない場合に,売買契約を締結するとき
(ただし,手付金等が,代金の5%超,または,1,000万円超のとき)
<宅建業者が自ら売主の場合>
許可等の 許可等の 工事
申請 処分 完了
―――○――――――○――――――○――――
相手方が 契約できない 契約できる
宅建業者
相手方が 契約できない 手付金等保全措置が必要な場合は
宅建業者 保全措置を講じれば契約できる※2
ではない
※2手付金等保全措置を講じる必要がない場合(手付金等が,代金の5%以下,かつ,1,000万円以下のとき)は,手付金等保全措置を講じなくても,契約を締結することができる。
(3)契約締結時期の制限と広告開始時期の制限※3
宅建業者が工事完了前の未完成物件について広告をするには,その物件について契約を締結できるのが前提ですから,広告を開始するには,契約締結時期の制限と同じように,建築確認や開発許可などの政令で定める処分※4があったことが条件になります。
広告開始時期の制限
●適用される取引 →貸借の媒介・代理にも適用される。
●監督処分 →指示処分
●罰則 →なし
契約締結時期の制限
●適用される取引 →貸借の媒介・代理には適用されない。
●監督処分 →業務停止,(情状が特に重いとき)免許取消し
●罰則 →なし
※2 契約締結時期の制限と広告開始時期の制限は,宅建業者が自ら貸主となって行なう場合には適用されない。
※3 建築確認や開発許可での検査済証の交付までは要求されていない。
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◇予想問題
1 宅地建物取引業者は,建物の建築に関する工事の完了前であっても,当該建物の売買の媒介であれば,当該工事に必要な建築確認を受ける前に行って差し支えない。
2 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合に,建物の建築に関する工事の完了前において,手付金等保全措置を講じるときは,建築確認を受ける前であっても宅地建物取引業者でない者と当該建物の売買契約を締結することができる。
3 宅地建物取引業者は,建築確認を受けた後でなければ,当該建物の賃貸借の媒介をしてはならない。
4 宅地建物取引業者は,建物が未完成のため自己の所有に属していない場合であっても,建築確認等を受けており,手付金等の保全措置を講じていれば,自ら売主として宅地建物取引業者でない者とその建物を売り渡す契約を締結することができる。
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〔正解&解説〕
1 建築確認を受けていなければ,建物の売買の媒介もすることはできない。×
2 建築確認を受けていなければ,手付金等保全措置を講じても,売買契約を締結することはできない。これは,相手方が宅建業者であっても同じである。 ×
3 建物の賃貸借の媒介には,契約締結時期の制限は適用されない。×
4 建築確認等を受けた後は,手付金等の保全措置を講じていれば,自ら売主として宅建業者でない者と売買契約を締結することができる。なお,建築確認等を受けていれば,相手方が宅建業者の場合は,手付金等の保全措置を講じていなくても,売買契約を締結することができる。○
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