宅建業法その13 報酬の限度額
13 報酬の限度額
宅建業者は,国土交通大臣の定める報酬額(法定報酬額)を超えて受領することはできません(法定報酬額を超えて請求することも禁止されている)。
報酬計算は苦手意識を持つ方が多いのですが,以下の基本的な計算方法(過去問に出題されたケースの大半を収録)を把握しておけばそれほど難しいものではありません。
(1)消費税
①建物の価額や事業用の建物の借賃では消費税及び地方消費税が課されます。
そのため,建物の売買や事業用建物の貸借の報酬を計算する場合は,消費税等相当額を含まない金額を求める必要があります。(宅地の価額や居住用建物の借賃には消費税及び地方消費税は課されない。)
②消費税課税事業者は消費税等相当額5%を加算し,消費税免税事業者は仕入れに係る消費税等相当額2.5%(みなし仕入れ率)を加算することができます。
(2)売買・交換の基準額の速算法
取引価額(交換で価額に差があるときは価額の高いほう)から基準額※1を求めるときは,国土交通省の告示(平成16.2.18)の計算方法だと複雑なので,以下の速算表※2を使います。
価 額 帯 報酬の基準額 ※1
200万円以下 価額の5%
200万円超~400万円以下 価額の4%+2万円 ※2
価額が400万円超 価額の3%+6万円
※1 基準額とは,当事者の一方から媒介を依頼された場合の税抜きの報酬の限度額をいう。
※2 400万円ちょうどの場合は,価額の4%+2万円,価額の3%+6万円のどちらで計算しても,18万円になります(200万円ちょうどの場合も同様)。
(3)売買・交換の報酬の限度額
価額2,000万円の建物の売買の媒介・代理をいくつかのケースに分けて,実際に計算してみます。
(基準額は,2,000万円×3%+6万円より66万円。)
①媒介の場合
売主A――――買主B
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宅建業者X(媒介)
ア<当事者の一方のみから媒介を依頼された場合の報酬の限度額>
当事者の一方から受領できる報酬の限度は,基準額+消費税等(または,みなし仕入れ率)
Xは,Aからのみ依頼されたときは,「基準額66万円+その5%」(693,000円)を限度としてAから受領できる。(66万円の5%は,66万円÷10÷2とすると計算が速い)
(備考)例えば,X1,X2が共同で売主側として媒介した場合は,X1,X2の受領する報酬の合計が693,000円であれば,X1,X2でどのように配分してもよい。
イ<当事者の双方から媒介を依頼された場合の報酬の限度額>
当事者の双方から受領する報酬の合計は,基準額の2倍+消費税等(または,みなし仕入れ率)以内で,かつ,当事者のそれぞれから,以下を限度として報酬を受け取ることができる。
報酬の限度額=基準額+消費税(または,みなし仕入れ率)
Xは,A・B双方から媒介を依頼されたときは,「報酬基準額66万円+その5%」(693,000円)を限度として,A,Bそれぞれから受領できる。
A,Bから受領できる報酬の合計額は,「報酬基準額66万円×2+その5%」(1,386,000円)が限度額となる。
②代理の場合
売主A――――買主B
\ /
宅建業者X(代理)
ア<当事者の一方のみから代理を依頼された場合の報酬の限度額>
当事者の一方から受領する報酬は,基準額×2+消費税等(または,みなし仕入れ率)
Xは,Aからのみ代理を依頼されたときは,「報酬基準額66万円×2+その5%」(1,386,000円)を限度としてAから受領できる。(132万円の5%は,132万円÷10÷2とすると計算が速い)
イ<当事者の双方から代理を依頼された場合の報酬の限度額>
当事者の双方から受領する報酬の合計は,基準額×2+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度となる。
この範囲内ならば,A,Bから受領する報酬の内訳は自由に設定できる。(当事者の一方から受領する報酬は,基準額+消費税(または,みなし仕入れ率)を超えてもよい。)
Xは,A・B双方から代理を依頼されたときは,A,Bから受領する報酬の合計は「報酬基準額66万円×2+その5%」(1,386,000円)が限度になる。
双方から代理を依頼された場合は,媒介とは異なり,A,Bから受領する報酬の合計が\1,386,000以内であれば,A,Bから受領する報酬は自由に設定できるので,例えば,Aからは「基準額66万円+その5%」である\693,000を超えて受領し,Bからは\693,000より少ない金額を,報酬として受領することができる。
③売主,買主のそれぞれが別の宅建業者に媒介を依頼していた場合
売主A―――――――買主B
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宅建業者X(媒介) 宅建業者Y(媒介)
複数の宅建業者が受領できる報酬の合計は,基準額×2+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度額となる。
売主側の宅建業者,買主側の宅建業者とも,受領する報酬は,基準額+消費税(または,みなし仕入れ率)が限度額となる。
売主側の宅建業者XはAから,買主側の宅建業者YはBから,「基準額66万円+その5%」(693,000円)を上限として,報酬を受領できる。
(備考) 売主側に宅建業者が複数関与していた(例えば,X1,X2が売主側として共同で媒介した場合)としても,X1,X2が受領する報酬の合計の限度額は693,000円(Xが単独で媒介した場合と同額)であり,X1,X2それぞれの報酬はX1,X2の協議によって自由に配分できる(買主側に宅建業者が複数関与していた場合も同じ)。
④売主,買主のうちの一方が宅建業者に媒介を依頼し,他方が別の宅建業者に代理を依頼していた場合
売主A―――――――買主B
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宅建業者X(媒介) 宅建業者Y(代理)
(i) 複数の宅建業者が受領できる報酬の合計は,基準額×2+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度額となる。
(ii)媒介の宅建業者が受領する報酬は,基準額+消費税(または,みなし仕入れ率)が限度額となり,代理の宅建業者が受領する報酬は,基準額×2+消費税(または,みなし仕入れ率)が限度額となる。
(i),(ii)の双方を満たすように,X,Yは報酬を受領しなければならない。
(4)貸借の報酬の限度額
①貸主・借主の双方から媒介を依頼されていた場合
貸主A――――借主B
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宅建業者X(媒介)
貸主・借主の双方から受領できる報酬の合計は,借賃(使用貸借の場合は,その物件で通常,定められる適正な借賃)の1ヵ月分が限度になる。
〔居住用建物の貸借〕当事者の一方から受領できる報酬の限度は,借賃の1ヵ月分の1/2+消費税等(または,みなし仕入れ率)
ただし,承諾があれば,当事者の一方から借賃の1ヵ月分+消費税等(または,みなし仕入れ率)を受領することができる。
〔事業用建物・宅地の貸借〕貸主・借主の双方から受領できる報酬の合計が借賃の1ヵ月分であれば,A,Bから受領する報酬は自由に決める事ができる。
②貸主・借主の一方または双方から代理を依頼されていた場合
貸主A――――借主B
\ /
宅建業者X(代理)
代理の報酬では,居住用建物の貸借,事業用建物・宅地の貸借の区別に関係なく,以下のようになります。
ア<当事者の一方のみから代理を依頼された場合>
借賃の1ヵ月分+消費税等(または,みなし仕入れ率) が限度額。
イ<当事者の双方から代理を依頼された場合>
(i)貸主・借主の双方から受領できる報酬の合計は,借賃1ヵ月分+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度になる。
(ii) この範囲内ならば,A,Bから受領する報酬の内訳は自由に設定できる。(当事者の一方から受領する報酬が,1ヵ月分の1/2+消費税(または,みなし仕入れ率)を超えてもよい。)
③貸主,借主のそれぞれが別の宅建業者に媒介を依頼していた場合
貸主A―――――――借主B
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宅建業者X(媒介) 宅建業者Y(媒介)
〔居住用建物の貸借〕
(i)X,Yが受領する報酬の合計は,借賃の1ヵ月分+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度になる。
(ii)X,Yが受領する報酬は,それぞれ,借賃の1ヵ月分×1/2+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度になる。
〔事業用建物・宅地の貸借〕
(i)X,Yが受領する報酬の合計は,借賃の1ヵ月分+消費税等(または,みなし仕入れ率)が限度になる。
(ii)X,Yが受領する報酬の内訳に制限はない。(i)の範囲内であれば自由に設定できる。(当事者の一方から受領する報酬が,1ヵ月分の1/2+消費税(または,みなし仕入れ率)を超えてもよい。)
④事業用建物・宅地の貸借の媒介・代理では,①~③とも,権利金〔権利設定の対価として支払われ,返還されないもの〕の授受があるときは,権利金を売買代金とみなして報酬を計算できます。
ただし,借賃・権利金の額によっては,権利金を売買代金とみなして計算した場合の報酬が,借賃をベースに計算した場合よりも,金額として低くなることがあります。
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◇予想問題
1) 4,200万円(消費税額及び地方消費税額を合算した額200万円を含む。) の土地付建物の売買について,甲から代理の依頼を受けた宅地建物取引業者Aと,買主乙から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Bとが共同して,売買契約を成立させた場合,Aが甲からは252万円,Bが乙から126万円を受領した。これは宅地建物取引業法に違反する。
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〔正解&解説〕
1) 土地付建物の消費税抜きの代金は,4,000万円。Aが甲から受領する報酬とBが乙から受領する報酬の合計は,報酬の基準額126万円×2+消費税等6万3千円=258万3千円が限度額である。AとBが受領した報酬の合計は378万円となり,この限度額を超えているので,これだけで宅建業法に違反していることが分かる。
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