宅建業法その15 宅建業者に対する監督処分
15宅建業者に対する監督処分
監督処分は,単にその行為が何の処分に該当するか問うだけでなく,監督処分のシステムが問われることがあります。
また,指示処分に関する問題は意外に間違えやすいので,注意してください。
(1)監督処分の流れ
聴聞の期日・場所の公示
↓
聴 聞
↓
処 分
↓
公 告
↓
免許権者(知事・国土交通大臣)に対する通知・報告
(免許権者以外の知事が指示処分・業務停止処分をしたとき)
(2)聴聞
国土交通大臣または知事が宅建業者に対する監督処分※1をしようとするときや,知事が取引主任者に対する監督処分を行おうとするときは,行政手続法13条1項(不利益処分)の区分(聴聞・弁明の機会の付与)に関係なく,処分対象者の意見陳述の場として,聴聞を行わなければなりません。
しかし,本人や代理人が正当な理由なく聴聞に出頭せず,陳述書・証拠書類も提出しない場合には,国土交通大臣や知事は,改めてこれらの者に意見を陳述させる機会を与えることなく,聴聞を終結させることができます(聴聞を開かなくてもよいということではない)
※1「所在不確知等の場合の公告による免許取消し」では聴聞は行なわれず(聴聞の期日などについて連絡のしようがない),取消処分について公告されることもない。
(3)公告
公告は,宅建業者に対する監督処分のうち,業務停止処分(1年以内の期間を定めて,その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる)・免許取消処分がされた場合に,官報(国土交通大臣免許業者)や都道府県の公報(知事免許業者)で,行なわれます。
指示処分の場合は公告はされません。なお,取引主任者に対する監督処分で公告されることはありません。
(4)処分権者の違い~誰に対して処分できるか~
免許取消処分は,免許権者しか処分できませんが,指示処分・業務停止処分はその宅建業者の免許権者ではない知事でも処分することができます。
①国土交通大臣の宅建業者に対する処分
国土交通大臣は,国土交通大臣免許業者に対してのみ処分することができます。
知事免許業者に対しては,指示処分・業務停止処分・免許取消処分のどれもすることができないので,注意してください。
②都道府県知事の宅建業者に対する処分
都道府県知事は,その免許を受けた宅建業者を処分できるだけでなく,国土交通大臣または他の都道府県知事の免許を受けた宅建業者が,その都道府県の区域内における業務に関し,指示処分や業務停止処分に該当する場合も,その宅建業者に対して,必要な指示や業務停止処分をすることができます。
(5)指示処分と業務停止処分
1)指示処分は,業務停止処分の対象以外の宅建業法の規定に違反した場合や業務停止処分の対象となるものであっても違反の度合いが比較的軽微な場合にも行われます。
2)指示処分に該当するものでも,業務停止処分にすることができる場合があります。それが以下の2つの場合です。
●宅建業者が,業務に関して,他の法令に違反し,宅建業者として不適当であると認められるとき※2
●取引主任者が指示処分・事務禁止処分・登録消除処分を受けた場合に,宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
※2業務に関係ない場合は,指示処分を受けることはない。なお,他の法令に違反して,禁錮以上の刑に処せられた場合は免許取消事由になることに注意。
3)指示処分に違反した場合はまず業務停止処分の対象となり,情状が特に重いときにのみ免許取消処分になります。
(6)免許取消処分
①任意的免許取消事由―免許を取り消さないこともできる
宅建業者が免許を受けるときに付された条件に違反したとき
宅建業者の事務所の所在地やその宅建業者の所在(法人の場合はその役員の所在)を確知できないときに,官報・当該都道府県の公報でその事実を公告し,その公告の日から30日を経過しても当該宅建業者から申出がないとき。
供託の届出をすべき旨の催告が到達した日から1月以内に宅建業者が供託した旨の届出をしないとき
② 必要的免許取消事由―必ず免許を取り消さなければならない
1)不正の手段により免許を受けたとき
2)業務停止処分に該当し情状が特に重いとき
3)業務停止処分に違反したとき
4)成年被後見人,被保佐人,破産者で復権を得ない者になったとき
5)禁錮以上の刑,または欠格要件となる罰金刑に処せられたとき
6)営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者の法定代理人が免許の欠格要件に該当するに至つたとき。
7)法人の役員または政令で定める使用人,個人業者の政令で定める使用人のうちに,欠格要件に該当する者があるに至ったとき
8)破産手続き開始の決定,法人の解散,宅建業の廃止の届出がなくても,そのいずれかに該当する事実が判明したとき
9)免許換えをしなければならないのに,免許換えをしていないことが判明したとき
10)免許を受けてから1年以内に事業を開始せず,又は引き続いて1年以上事業を休止したとき※3
※3免許権者は,名義貸しなどの防止のため,正当な理由の有無を問わず,免許取消処分をしなければならない。
--------------------------------------------------
◇予想問題
1 都道府県知事は,宅地建物取引業者に対し,業務停止処分をしようとするときは,聴聞を行わなければならないが,指示処分をするときは,聴聞を行う必要はない。
2 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の取引主任者B(甲県知事登録)が,乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に,取引主任者としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき,乙県知事は,Aに対しても指示の処分をすることができる。
3 宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法の業務に関して,建築基準法の規定に違反して罰金の刑に処せられた場合,これをもって業務停止処分を受けることはない。
4宅地建物取引業者A (甲県知事免許) が,乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合,甲県知事は,Aの免許を取り消すことができる。
--------------------------------------------------
〔正解&解説〕
1指示処分・業務停止処分・免許取消処分のいずれも,しようとするときは聴聞を行わなければならない。×
2取引主任者が指示処分を受けた場合に,宅建業者の責めに帰すべき理由があれば,知事は,その宅建業者の免許権者でなくても,指示処分や業務停止処分をすることができる。○
3宅建業の業務に関するものでなければ,処分を受けることはないが,業務に関して,他の法令に違反し,宅建業者として不適当であれば,指示処分や業務停止処分の対象になる。×
4 免許権者は,他の都道府県知事が行った業務停止処分に宅建業者が違反した場合は,免許取消処分をすることができる。○

