建物区分所有法23 管理組合法人 その他規定
はじめて建物区分所有法入門23 植杉 伸介
5 管理組合法人に関するその他の規定
(1)管理組合法人の事務の執行
管理組合法人の事務は、すべて集会の決議によって行うのが原則です。しかし、すべての事務について、いちいち集会を開いて決議を行うのは不便です。
そこで、規約で定めれば、一定の事項を除いて、理事その他の役員の決定に任せることができます。
理事その他の役員の決定に任せるためには、単なる集会の決議ではダメで、その旨を規約で定めなければならない点に注意してください。
ここでは、理事等の決定に任せることができない「一定の事項」を押さえることが重要です。その「一定の事項」とは、次の事項です。
① 特別決議事項
② 義務違反者に対する行為の停止請求訴訟の提起
なお、共用部分等の保存行為については、理事の決定に任せる旨の規約の定めがなくても、当然に、理事が決定することができます。
(2)区分所有者の責任
管理組合法人は、法人自体が権利義務の主体となるので、法人の債務は法人の財産で返済することになります。しかし、管理組合法人の債務は、区分所有者全員のために負担したものです。
そこで、法人の財産だけでは債務を返済できなかったときは、二次的に区分所有者が共用部分の持分の割合に応じて債務の額を分割して弁済する責任を負います。
また、管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったときも、同様に区分所有者が責任を負います。ただし、管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを区分所有者が証明したときは、責任を免れることができます。
(3)特定承継人の責任
区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、上記の区分所有者の二次的責任と同じ責任を負います。
(4)解散と解散決議
管理組合法人は、次の3つの場合にのみ解散します。
① 建物の全部が滅失した場合
② 建物に専有部分がなくなった場合
③ 区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数の集会の決議により解散が決定された場合
①の建物の全部の滅失があった場合は、区分所有の対象がなくなるため、区分所有者が存在しなくなります。区分所有者が存在しないければ、区分所有者の団体である管理組合も、自動的に消滅することになるからです。
②の建物に専有部分がなくなった場合とは、建物自体は存在しているが、その建物が区分所有建物でなくなったことをいいます。専有部分間の隔壁を除去したような場合です。この場合も、区分所有者が存在しなくなるので、管理組合も自動的に消滅することになります。
③の解散決議があった場合は、管理組合自体が消滅するのではありません。法人でない管理組合に戻るだけです。
(5)残余財産の帰属
管理組合法人が解散すると、残っている債務と財産について清算する手続が行われます。その清算手続を終えた後、まだ財産が残っている場合は、これを各区分所有者に分配することになります。
法人名義の財産は、本来、区分所有者全員のものだからです。そして、その残余財産の帰属割合は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合によります。

