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建物区分所有法30 「建替え決議」

はじめて建物区分所有法入門(仮題) その30 植杉 伸介

3 建替え決議

(1)集会の決議による建替え

 建物が老朽化等してくると、修繕工事や復旧工事で建物を維持するより、いっそのこと今の建物を取り壊して、新しい建物を再建したほうがよいということがあります。

 そこで区分所有法は、集会の決議により区分所有建物の建替えをすることを認めています。

 すなわち、集会において、区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地もしくはその一部の土地または当該建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に(要するに、建替え前の敷地と建替え後の敷地は、一部でも重なっていればよいということです)、新たに建物を建築する旨の決議をすることができます。


(2)建替え決議を行う集会の招集通知

 集会の招集通知は、会日の1週間前までに発すれぱよいのが原則ですが、建替え決議を行う集会の招集通知だけは、区分所有者に十分な考慮期間を与えるため、会日の少なくとも2ヵ月前までに発しなけれぱならないこととされています。

 そして、この2ヵ月という期間は、規約で「伸長する」ことはできますが、「短縮する」ことはできません。

 また、建替え決議を行う集会の招集通知においては、議案の要領を通知しなければなりませんが、単なる議案の要領だけでは、区分所有者が建替えの可否を判断する材料として不十分と思われます。

 そこで、建替え決議を行う集会の招集通知においては、議案の要領のほか、次の4つの事項も通知する必要があります。


① 建替えを必要とする理由

② 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持または回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額およびその内訳

③ 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

④ 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

(3)説明会の開催

 建替え決議のための集会を招集した者は、建替え決議を行う集会の会日の少なくとも1ヵ月前に、招集通知で通知された事項について説明を行うための説明会を開催しなければなりません。

 書面等による通知だけでは、区分所有者がその内容を必ずしも十分には理解できないからです。


 なお、この説明会の開催については、通常の集会の招集と同様に開催日の1週間前までに各区分所有者に通知を発することが必要です。

 ただし、一般的な集会の招集通知と異なり、この「1週間」という期間を規約で「伸長する」ことはできても、「短縮する」ことはできません。

(4)建替え決議において定めるべき事項

 建替え決議においては、次の4つの事項を必ず定める必要があります。

① 新たに建築する建物(再建建物)の設計の概要

② 建物の取壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額

③ 建替え費用の分担に関する事項

④ 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

 以上の4つの事項のうち、③の費用の分担と④の区分所有権の帰属については、各区分所有者の衡平を害しないようにする必要があります。

(5)議事録への賛否の記載

 建替え決議が成立したときは、議事録にその決議についての各区分所有者の賛否を記載・記録しなければなりません。

 後で述べる建替え決議後の手続において、決議への賛否が重要な意味を持ってくるからです。