5か月短期攻略法 4「物権変動」 小川多聞
ウィークポイント超速整理その
4 物権変動
「登記の欠缺を主張できる正当な利益を有しない第三者」は,登記があっても保護されない。
●登記を要する第三者
①二重の譲受人(悪意者を含む)
②取消し後の第三者
③解除後の第三者
④時効取得後の第三者
●登記なしで対抗できる者
①背信的悪意者
②詐欺・強迫により登記を妨げた者
③登記の依頼を受けていた者
④不法行為者・不法占拠者
⑤無権利者
(1)登記がなければ対抗できない第三者
【二重の譲受人】

A → B ①売買契約
A → C ②売買契約
B ←→ C BC間は対抗関係
ここで「対抗関係」というのは,登記を備えたほうが勝つことを意味します。
Cは,悪意でも登記を備えれば,Bに対抗できます。
【取消し後の第三者】
A --------→ B---------→ C
①売買契約 ③売買契約
②売買契約
の取消し
この場合は,②の売買契約の取消しによりBからAに不動産が移転し(復帰的物権変動),同じ不動産が③の売買契約によりBからCに移転したので,対抗関係となります。

B → A ②売買契約の取消し
B → C ③売買契約
なお,取消し前に現れた第三者と売主との関係は,取消しの効力の問題となります(詐欺による取消しは善意の第三者に対抗できないが,強迫の場合は対抗できます)。
【解除後の第三者】
これも取消し後の第三者と同じく,解除により不動産がBからAに返還され,同じ不動産が第三者に売却されたことになります。
なお,解除前に現れた第三者についても,登記の有無で優劣を決する(判例)が,この場合は第三者の保護要件として登記を基準にすることになり,真の意味での「対抗関係」ではありません。
この結果,解除に関しては,解除前でも解除後でも第三者が現れた場合はAC間では,どちらか登記を備えたほうが勝つことになります。
【時効取得後の第三者】

占有開始A所有土地をBが占有
時効完成AからBに所有権移転
Cに売却AからCに所有権移転

A → B ①時効完成
A → C ②売買契約
(2)登記なくして対抗できる第三者
【背信的悪意者】

A → B ①売買契約
A → C ②売買契約
Cは,単なる悪意者ではなく,信義にもとる悪意者(背信的悪意者)なので,Bは,登記なくして対抗できます。
【詐欺・強迫により登記を妨げた者】
詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は,その登記がないことを主張することができない(不動産登記法5条1項)。

A → C ①売買契約
A → C ③売買契約
B → C ②Bを強迫(詐欺)
【登記の依頼を受けていた者】
他人のために登記を申請する義務を負う第三者は,その登記がないことを主張することができない。ただし,その登記の登記原因(登記の原因となる事実又は法律行為をいう)が自己の登記の登記原因の後に生じたときは,この限りでない(同条2項)。

A → B ①売買契約
A → C ③売買契約
B → C ②Bから登記の依頼
【不法行為者・不法占拠者】
これらの者は,なんら法的保護を与える必要はないので,以前から,登記なくして対抗できるとしています。
①売買契約
A ----------→ B
甲地
←------------C
Cが勝手に甲地に建物を建てたら,Bは,登記がなくても「取り壊せ」といえます。
【無権利者】
〈例1〉
①売買契約
A ---------→ B
土地
-----------→C
②Cが登記を偽造して(書類を盗んで)自己の物のように装う
この場合,Bは,登記なくして,Cに対抗できます。また,無権利者から不動産を譲り受けた者も無権利者です(たとえ善意・無過失でも)。
〈例2〉
①売買契約 ②売買契約
A ---------→ B --------→ C
Cは,登記なしにAに対抗できます。Aは,前々所有者にすぎず,Cから見れば無権利者だからです。
しかし,Cの登記前にAがDに譲渡したら,CD間は対抗関係となります。

A → B ①売買契約
B → C ②売買契約
A → D ③売買契約
このように,所有権の流れが分流した場合は対抗関係となります。この意味で,Aは,まったくの無権利者ではなく,二重譲渡できる権利を有していることになります。
〈例3〉

A → B ①売買契約(虚偽表示)
B → C(善意)②売買契約
A →D ③売買契約
この場合,CはDの現れる前はAに対して登記なくして対抗できますが(虚偽表示の無効は,善意の第三者に対抗できない),Dが現れた瞬間,登記がなくてはDに対抗できなくなります(流れが分流してしまった)。
(公式) 物権変動の流れが直線の場合は登記なくして対抗できるが,それが分流したら対抗関係となる。



