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5か月短期攻略法 6 「法定地上権」 小川多聞

ウィークポイント超速整理その6

6 法定地上権

 法定地上権が成立するか否かは,第一順位の抵当権で判断する。

 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定され,その実行により所有者を異にするに至ったときは,その建物について,地上権が設定されたものとみなす(民法388条)。

 法定地上権は,土地上に建物がある場合に,抵当権が実行され,建物が取り壊されることがないよう規定されたものです。

 上記条文の要件を押さえて,それをていねいに当てはめていけば間違えることはないのですが,かなり難しい部分のあることも事実です。


【法定地上権成立の要件】

①抵当権設定当時,土地上に建物が存在すること@②土地と建物が同一の所有者に属すること@③土地と建物の一方もしくは双方に抵当権が設定されたこと@④競売の結果土地と建物の所有者が異なる者となったこと


(1)抵当権設定当時,土地上に建物が存在すること

 1番抵当権設定当時は建物がなく,その後,建物が建築され2番抵当権が設定された場合,2番抵当権が実行されたときは法定地上権が成立するでしょうか。

 答えは,「成立しない」です。2番抵当権の実行により,抵当不動産はすべての抵当権者のために競売され,まず,1番抵当権者が優先弁済を受けることになります。

 したがって,1番抵当権者が,法定地上権の負担を受けないかたちで,担保価値を把握(担保価値を高く見積もる)しているので,法定地上権は成立しないのです。

 法定地上権が成立するか否かを判断する基準は,1番抵当権ということです。

 なお,抵当権設定当時に更地であったときは,たとえ抵当権者が建物の建築を承認していたとしても法定地上権は成立しません。

 また,抵当権設定当時建物が存在し,後に建て替えられた場合には,旧建物のために法定地上権が成立する場合におけると同一の範囲内において法定地上権が成立します。

(2)土地と建物が同一の所有者に属すること

 かりに,抵当権設定当時に,土地と建物が別々の所有者であれば,建物のために借地権が設定されているはずですので,法定地上権を成立させる意味がないのです。

 抵当権設定当時は土地と建物が同一の所有者であり,その後建物が第三者に譲渡され,土地と建物が異なるにいたった場合,法定地上権は成立するでしょうか。

 答えは,「成立する」です。建物(土地でも同じ)が譲渡された場合は,借地権が設定されますが,その借地権は,競落人に対抗できないので,法定地上権を成立させる必要があるのです。

 土地または建物が共有の場合に法定地上権が成立するでしょうか。この問題は,他の共有者の利益を害するか否かで考えます。

①AB共有地上にA所有の建物があり,Aが共有土地の部分に抵当権を設定

②AB共有地上にA所有の建物があり,Aが,建物に抵当権を設定

③Aの所有地にAB共有の建物があり,Aが土地に抵当権を設定

④Aの所有地にAB共有の建物があり,Aが共有建物の持分に抵当権を設定

 
 ①②法定地上権否定(Bの不利益を考慮)
 ③④法定地上権肯定(Bにとっては有利になる)


(3)土地と建物の一方もしくは双方に抵当権が設定されたこと

 条文上は,その一方のみと読めるが,双方に抵当権を設定した場合も法定地上権を認めています。


(4)競売の結果土地と建物の所有者が異なる者となったこと

 土地と建物が同一の所有者になれば,法定地上権を成立させる必要はないので,当然の要件でしょう。
 

予想問題

次の記述のうち,正しいものには○,誤っているものには×をつけなさい。


1 土地及びその上に存在する建物が同一の所有者に属する場合,建物について保存登記がなされていない場合にも法定地上権が成立する。


2 甲地についてAが第一順位の抵当権を有し,Bが第二順位の抵当権を有する場合,Aの抵当権設定後Bの抵当権設定前に甲地について建物が建築され,その後Bが抵当権を実行した場合は,法定地上権は成立しない。

解答・解説

1 建物についての登記は法定地上権の成立要件ではない。〇

2 第一順位の抵当権設定当時に建物が存在しないので,法定地上権は成立しない。〇