日本一早い宅建税制改正の解説 伊藤陽三
宅建 5か月短期攻略法 日本一早い宅建税制改正の解説
住宅新報社講師
伊藤陽三
1はじめに
平成20年度(平成20年4月1日以降)の土地・建物に係る税制改正については,本則に対する 各種の優遇を設けた特例の動向がポイントです。そして新設された特例については,趣旨と従来の特例との関係について,また従来からの特例の延長適用については,内容改正の有無と延長期限が重要です。
概略は以下のとおり。
(1)新設された特例
①長期優良住宅(200年住宅)の登録免許税,不動産取得税および固定資産税の軽減の特例(長期優良住宅普及促進法施行日から平成22年3月31日まで)
②住宅の省エネ改修工事の所得税および固定資産税の減額の特例(平成20年4月1日から平成20年12月31日まで)
(2)内容改正の上,適用期限が延長された特例
土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置の一部延長(平成20年4月1日から平成23年3月31日まで)
(3)同一内容で適用期限が単に延長された特例
①住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例の延長(平成21年12月31日まで)
②新築建売住宅等分譲業者の不動産取得税に係るみなし取得日を「1年」経過後とする特例の延長(平成22年3月31日まで)
なお,不動産取得税の税率は,平成20年4月1日以降住宅以外の家屋は,それまでの3.5%から本則の4%になっています(ただし,土地と住宅は平成18年度改正により平成21年3月31日まで3%です)。
2個別改正の内容
(1)長期優良住宅(いわゆる200年住宅)の普及の促進に関する法律
良質な住宅を大切に長期間使うことにより,環境負荷を低減し,国民の住宅負担の軽減を図る趣旨で制定されました。
その内容として,長期優良住宅の登録免許税については,所有権保存登記,所有権移転登記ともに0.1%の軽減税率の適用が認められ,不動産取得税については,現行の新築住宅に関する1,200万円を控除する特例に代えて1,300万円を控除する特例が認められます。
さらに,固定資産税について新築住宅に関する3年乃至5年(中高層耐火建築物)度分の2分の1の減額の特例に代えて5年乃至7年(中高層耐火建築物)度分の2分の1の減額の特例の適用が認められます。
(2)住宅の省エネ改修工事促進税制とは
地球温暖化防止に向けてCO2排出量削減のため既存住宅の省エネ改修工事を行った場合に,改修工事にあてるための借入金の年末残高の一定割合を所得税から差し引き(税額控除),翌年分の固定資産税額(120㎡相当分まで)を3分の1減額するものです。
内容的には19年度改正で認められたバリアフリー改修工事ローン控除に準じたものになっています。
なお,従来からのいわゆる住宅ローン控除も住宅取得のみならず,100万円を超える増改築工事には適用があり,この省エネ改修工事ローン控除と住宅ローン控除の両者ともに適用可能な場合には,いずれかの選択適用となります。
なお,耐震改修工事促進のための所得税額の特別控除も,平成18年4月1日から平成20年12月31日までの既存住宅の耐震改修工事については従来から認められており,これは工事支出があれば借入金は不要で,住宅ローン控除とは併せて適用を受けることができます。
以下,住宅改良工事に係る住宅ローン控除(増改築工事),バリアフリー改修工事ローン控除,省エネ改修工事ローン控除,耐震改修工事支出控除の内容の相違は次表のとおり。
【各種工事に係る税額控除】

(3)土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置の一部延長とは
土地に関する売買あるいは信託による登記が,平成20年3月31日までに行われるときの税率は本則の2分の1とする特例が従来あったのですが,これを平成21年3月31日まで延長しつつ,平成23年まで段階的に引き上げ,本則に近づけるものです。
以上の結果,土地に関する主な登記の種類・原因と税率は次の表になります。

また特定目的会社が,資産流動化計画に基づき,特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する従来からの税率軽減(現行0.8%)の特例についても,税率を21年3月31日までが0.8%,22年3月31日までを0.9%としつつ2年間軽減税率の適用が延長されています。
なお,個人の居住用家屋の所有権移転,所有権保存および抵当権設定登記の登録免許税に対する軽減税率の特例は,19年度(昨年度)税制改正で適用期限が19年3月31日から21年3月31日まで2年間延長されており,本年度も変わらず適用されます。
登記の種類・原因・@不動産の区分 本則 21.3.31まで 22.3.31まで 23.3.31まで
所有権の保存@ 0.4% ―
所有権@の移転 相続・合併 0.4% ―
売 買 土地 2.0% 1.0% 1.3% 1.5%
建物 2.0% ―
所有権の信託 土地 0.4% 0.2% 0.25% 0.3%
建物 0.4% ―
(4)住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例
住宅取得資金等贈与について相続時精算課税制度の一般的非課税枠2,500万円に,さらに1,000万円を上乗せすることを内容とするもので,今回適用期限を2年延長し,平成21年12月31日の贈与までとします。
【各種工事に係る税額控除】
特例 対象工事 対象期間 控除期間 ローン年末残高 控除年および控除率 最大控除額 適用関係
省エネ改修工事ローン控除 30万円超の省エネ改修工事 H20.4.1から@H20.12.31@までの@工事 5年 省エネ工事部分@200万円以下 それ以外工事部分@1000万円以下 1~5年目省エネ工事部分2%@それ以外工事部分1% 60万円 住宅ローン控除といずれかの選択適用のみ
バリアフリー改修工事ローン控除 30万円超のバリアフリー改修工事 H19.4.1から@H20.12.31@までの@工事 バリアフリー工事部分@200万円以下@それ以外工事部分1000万円以下 1~5年目@バリアフリー工事部分2%@それ以外工事部分1%
住宅ローン控除 100万円@超の増改築 H20年 10年 2000万円以下 原則 1~6年目1%@7~10年目0.5% 160万円 居住用財産の買換えの場合@の譲渡損失の損益通算・繰@越控除との併用可
耐震改修工事支出控除 S56.6.1以降のいわゆる新耐震基準に適合させる改修工事 H18.4.1@から@H20.12.31@までの@工事 支出年 支出があればよくローンは不要 工事支出の10% 20万円 住宅ローン控除とは併用できる
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