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5か月短期攻略法15 「不法行為」 小川多聞

15 不法行為

 使用者の求償権は,被用者の過失割合に応じて行使しうる。

 タクシー会社Aの運転手Bと,タクシー会社Dの運転手Cの共同の不法行為により通行人Eに傷害(被害額100万円相当)を与えた場合で考えてみましょう。

 なお,BとCの過失割合は各5割とします。

(1)被害者Eの請求権

①BおよびCに対しては共同不法行為者(民法719条,709条)として,100万円請求できます。BCの債務は不真正連帯債務となります(判例)。


 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う(719条1項)。

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う(709条)。


②AおよびDに対しては,使用者責任として,100万円を請求できます(715条)。使用者責任におけるAB・CDの債務も不真正連帯債務です。


 以上により,被害者Eは,ABCDのすべてに対し,100万円全額請求できることになります(不真正連帯債務)。


 ある事業のために他人を使用する者は,被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

 ただし,使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき,又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは,この限りでない(715条1項)。

(2)求償関係

● 使用者Aから被用者Bに対する求償
 使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない(715条3項)。
 この条文により,使用者A(D)は,被用者B(C)に対して,求償できますが,その範囲は公平の観点から制限されます。

【判例研究】
 使用者が,その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により,直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被った場合には,使用者は,諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる(最判昭51・7・8)。


【注意】 被用者Bから使用者Aに対する求償(逆求償)が認められるか否かに関しては,判例がありません。通説はこれを認めています。

● 被用者Bから使用者Dに対する求償

 自己の負担部分(過失割合)を超える損害を賠償した場合は,他方の使用者に求償できます。
 また,被用者Cに対しても,同額の請求ができます。

 結局,Bは,C・Dに対して,50万円の請求ができることになります。

 被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において,第三者が自己と被用者との過失割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは,第三者は,被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる(最判昭63・7・1)。

● 使用者Aから,他の使用者Dに対する求償

 これに関しても,使用者Aは,他の使用者Dに対して,自己の負担部分(被用者の負担部分と同じ,50万円)を超えて損害賠償した場合には,その超えた部分を請求できます。

【判例研究】

 共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において,一方の加害者の使用者は,当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは,その超える部分につき,他方の加害者の使用者に対し,当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で,求償することができる(最判平3・10・25)。

 被用者Cに対しても50万円請求できます。

 使用者は,被用者と第三者との共同過失によって惹起された交通事故による損害を賠償したときは,右第三者に対し,被用者と第三者との過失の割合にしたがって定められる第三者の負担部分について求償権を行使することができる(最判昭41・11・18)。


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