5か月短期攻略法 13 「賃貸借契約」 小川多聞
ウィークポイント超速整理 13
13 賃貸借契約
賃借人が賃借地上に建築した建物を第三者に賃貸しても,借地を第三者に転貸したことにはならない。
裁判所は,無断譲渡・転貸による賃貸借契約の解除は,なるべく認めないように考えています。そこのところを一連の判例とともに学習しましょう。
(1)無断譲渡・転貸
1 賃借人は,賃貸人の承諾を得なければ,その賃借権を譲り渡し,又は賃借物を転貸することができない(民法612条1項)。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは,賃貸人は,契約の解除をすることができる(同条2項)。
賃貸借契約は,継続的な契約であり,契約当事者間には,信頼関係があると考えられています。
無断譲渡・転貸は,この信頼関係を破壊する行為なので,賃貸借契約の解除原因となるわけです。
しかし,この規定により,弱い立場にある賃借人の地位が容易に覆されるおそれがあります。そこで,判例は,なるべく無断譲渡・転貸による賃貸借契約の解除を制限しようとしています。
(2)賃借権の譲渡・転貸とは
冒頭の文言は,借地の転貸とならないとして,解除を認めなかったものです。
【判例研究】
①賃借人が賃借地上に築造した建物を第三者に賃貸しても,土地賃借人は建物所有のため自ら土地を使用しているものであるから,賃借地を第三者に転貸したとはいえない(大判昭8・12・11)。
②賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては,特別の事情のないかぎり,売主は,買主に対し,その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであって,それに伴い,その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである(最判昭47・3・9)。
上記判例はきわどいですが,借地上の建物の譲渡は借地権の譲渡になるが(②),借地上の建物の賃貸は,賃借地の転貸とはならないとしています。
【注意】 次のような判例もありますので,注意しましょう。
①賃貸人に無断でも,譲渡・転貸借の契約自体は当事者間では有効である。
(ア)賃貸借契約 (イ)転貸借契約
A------------→B------------→C
(イ)の転貸借契約に関し,賃貸人Aの承諾がなかったとしても,BC間の賃貸借契約(転貸借契約)は有効ということです。この契約の有効を,賃貸人との関係では対抗できないことになります。
②賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は,賃借契約を解除しなくても,譲受人または転借人に対しその明渡しを求めることができる(最判昭26・5・31)。
(3)解除の制限
無断譲渡・転貸と認められても,どうにか解除を制限しようとするのが判例です。
【判例研究】
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用又は収益をなさしめた場合でも,賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは,賃貸人は民法第612条第2項により契約を解除することはできない(最判昭28・9・25)。
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