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直前予想問題と解説 権利関係2 植杉伸介

予想問題と解説(1問1答式)

①抵当権消滅請求

【問1】 次の各問の正誤を答えなさい。

1 抵当権が設定された不動産について,所有権を取得した者は,抵当権消滅請求をすることができるが,地上権又は永小作権を取得した者は,抵当権消滅請求をすることができない。

2 抵当権者が抵当権を実行しようとするときは,あらかじめ抵当不動産の第三取得者に抵当権実行の通知をしなければならない。

3 抵当権消滅請求の通知を受けた債権者が,抵当権の実行をするときは,通知を受けてから2か月以内に,債務者及び抵当不動産の第三取得者にその旨を通知しなければならない。

【解答・解説】

1 正しい。抵当権消滅請求をすることができるのは,抵当不動産の所有権を取得した者だけです(民法379条)。

〈改正のポイント・注意点〉
抵当権消滅請求の制度に関する法改正は,平成15年に行われています(施行は平成16年4月1日から)。改正前は「滌除(てきじょ)」という名前の制度でした。

滌除制度においては,抵当不動産について所有権を取得した者だけでなく,地上権または永小作権を取得した者も,抵当権の消滅を請求できるものとされていました。

しかし,法改正後は,抵当不動産について所有権を取得した者に限って抵当権消滅請求が認められており,地上権または永小作権を取得した者は,抵当権消滅請求をすることができません。

なお,代価弁済の相手方については,抵当不動産について所有権を取得した者だけでなく,地上権を取得した者も含まれている(永小作権を取得した者は含まれない)こともあわせて押さえておいてください。


2 誤り。抵当権者が抵当権を実行しようとするときに,あらかじめ抵当不動産の第三取得者に抵当権実行の通知をする必要はありません。

〈改正のポイント・注意点〉 
改正前の滌除制度においては,本問のとおり,抵当権者が抵当権を実行しようとするときは,あらかじめ抵当不動産の第三取得者に対して,抵当権実行の通知をしなければならないものとされていました。

第三取得者に滌除の機会を与えるためです。 ところが,この通知制度があるため,抵当権者は抵当権の実行に当たって第三取得者の存在を調査しなければならず,また,通知漏れがあると抵当権の実行手続が無効になるなど,抵当権者にとって不利益が大きく,批判の多い制度でした。

そこで,通知制度を廃止することにしたのです。

3 誤り。抵当権消滅請求の通知を受けた債権者が,抵当権の実行をするときは,通知を受けてから2か月以内に,抵当権実行の通知をしなければならないとする点は,正しい記述です。

しかし,通知をする相手方は,「債務者」および「抵当不動産の譲渡人」であり,「第三取得者」に対して通知をする必要はありません。

〈改正のポイント・注意点〉 
改正前は,抵当権者は,第三取得者から滌除の申出があった後,1か月以内に対応を決めなければなりませんでしたが,「1か月」という期間は短すぎるので,改正法ではその期間を倍の「2か月」としています(民法384条,385条)。 

なお,改正前の滌除制度においては,第三取得者からの申出を拒否して,抵当権を実行する場合,増価競売という方法によらなければなりませんでしたが,この制度は,抵当権者の負担が大きいので,改正法では廃止されました。


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