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平成21年度国家試験を展望する 「宅建試験」 2  十影 響

(3)出題内容と難易度
 分野別の難易度としては,権利関係・法令制限・5問免除科目は例年並みのようですが,宅建業法の一部や税法で得点しにくいものがありました。全体として難易度は前年より上昇したものと思われます。ただ,どの程度上がったかについては,合格発表で合格基準点を見てみないことには分かりません。

■注 20年の試験では,問題用紙の大きさがそれまでのB5からA4に変わりました。文字数が全体的にやや増加したように感じられ,その結果,問題を読み取るのに時間がかかり,解答作業の時間が若干短縮されました。この切迫感の中でのストレスも受験者の体感難易度には相当程度影響したものと思われます。
権利関係
①正解肢の出題歴
 正解肢に出題歴があるものは16問中12問(19年は13問)ありました。初出題の正解肢は,問1(成年被後見人),問5(詐害行為取消権),問10(敷金),問11(不法行為・法人)の4つですが,受験者の大半が想定外の難問であったのは問5のみで,これを除けば,ほぼ過去問出題範囲または関連する基本事項でした。
 初出題の肢が15肢前後と多い割には,正解肢で見る限りでは,意外に取り組みやすかったといえます。
5年以内の出題歴@(5問) 問6(連帯債務3-6-3,連帯保証15-7-3),問9(瑕疵担保責任15-41-4),問13(借地権の対抗要件15-13-1),問14(定期建物賃貸借・期間満了の通知15-14-4),問16(仮登記申請16-15-1)
6年前~10年前に出題歴(2問) 問2(無権利者からの転得者13-5-1),問15(管理者の選任12-13-1)
10年超前の出題歴@(5問) 問3(無権代理と相続5-2-4),問4(借家権の対抗要件2-13-1),問7(自己の財産と同一の注意61-2-1),問8(代物弁済の承諾55-12-4),問12(遺留分減殺請求権の消滅9-6-3)
■注 問3(無権代理と相続5-2-4)は,類題が平成5年問2肢4で出題されたことを示しています。また,61-2-1,55-12-4は昭和61年,昭和55年の出題です。

②難易度
 権利関係の難易度は前年並みですが,問5の詐害行為取消権,問8の判決文(借地上の建物の賃借人が,地代の弁済をすることにつき法律上の利益がある),問7(寄託)などにペースを狂わされたり,問4の抵当権・借地借家法との融合問題,問9の宅建業法との融合問題に戸惑った受験者が多かったようです。
 また,初出題の肢で正解肢以外の選択肢の正誤判定に時間がかかった受験者にとっては相当難しく感じられたと思われます。ただし,上で見たように,権利関係の正解肢では過去問出題歴がある問題が多いため(75%),例年になく,個人差の激しかった年だといえます。
③判例問題の出題
 判例を扱った問題は前年より減少して8問でしたが,判例問題ではない問題にも内容の濃密な出題(問6,問7,問12)があったため,判例問題が減少してもそれだけやさしくなったとはいえないようです。
17年度 18年度 19年度 20年度
8問 12問 12問 8問
法令制限 法改正による変更も含めると初出題の肢は7つありましたが,正解肢そのものは,問21(建築基準法-大規模集客施設,改正点),問25(諸法令-避難経路協定)を除いて,過去問出題歴のあるものでした。
 問25も正解肢以外はすべて出題歴があったことから消去法で容易に得点できたと思います。そのため,前年と同じく,通常の過去問学習で十分対処できるものであり,比較的やさしい年であったといえます。
宅建業法 出題内容は,おおむね頻出事項だったのですが(初出題は問36のみ),一部で,正答率(自己採点集計による)の低い問題があったようです。特に,問33の登録に関する問題(正解肢は頻出問題だが,他の3肢が紛らわしかった),問35の指定流通機構の登録に関する個数問題(これまでの出題数は少ない),問36(信託受益権の販売での重要事項説明)の組合せ問題,問42の展示会の標識,問43の報酬計算(苦手意識が原因)の5問については,正答率が50%前後(特に問35は10%以下)になっています。また,問34肢3では,正解肢ではありませんが,平成7年出題以来の営業保証金の変換の届出も出題されていました。
 正答率の低い問題は一部にとどまるとはいえ,前年のように満点を取ることが可能とはいえず,合格基準点が下がるとすれば,主にこの分野の失点が影響したものと思われます。
税法その他 税法・鑑定,5問免除科目とも,前年とほぼ同じ難易度ですが,特に以下の問題が受験者の体感難易度を高めたようです。
①税法の問26(譲渡所得),問28(固定資産税)。問26は譲渡所得の課税システムそのものが問われ,問28では未出題項目が正解肢。
②問48の統計問題では19年度の新設住宅着工戸数(近年は19年または18年度のデータが出題),20年版土地白書(例年では19年版土地白書が出題)が出題されるなど,イレギュラーな出題がありました(正解肢の法人統計〈不動産業の経常利益〉を知っていれば,どうということのない問題なのですが)。
③問49(等高線と地形の関係)。等高線は以前も出題がありましたが,4肢にわたる単独問題は初めてです。
 もともと税法その他は,初出題の肢が多い分野ですが,初出題の肢の数よりも,凝った演出のほうに受験者は戸惑ったと思います。