住宅新報社・季刊「不動産受験新報」2010年冬号
         (12/1日発売 定価1155円)

3:宅建試験対策の根本事項
(1)確実に36点以上を取る
 宅建業法20問時代が始まり,合格基準点が今後どうなるのか注目されています。これまでの合格基準点の最高は36点(平成14年度)でしたが,従来苦手意識の強かった権利関係・税法が減少し,比較的難易度の低い宅建業法が増加していることから,将来は合格基準点が36点を超えることになるかもしれません。

 しかし,当面はやはり36点を確実に取れるようにすることが先決です。宅建業法20問元年の今年も出題内容に大きな変化がなかった以上,今後も「基本的な事項(特に出題頻度の高い問題)は確実に取れるようにすること」「苦手意識をもつ項目を最小限にすること」が必要です。

そのためには,学習時間を十分取れるように計画を立ててください(宅建試験では時間切れで学習が不十分だったという受験者の方が他の資格試験に比べて多いといわれています)。

(2)過去問は90%以上の正解を目標に
 過去問は9割以上できるようにしておくのが絶対条件です。どんな資格試験でも合格するためには過去問をマスターすることが必要だといわれています。基本書で学んだ知識の中で,何がどのように出題されているのか知らなければ,得点力は半減します。

 効率的な過去問の学習方法としては,学習項目ごとに,基本書で基礎知識をインプット⇒知識が身についているか過去問(一問一答または項目別問題集)でチェックすることです。 

(5)改正法からの出題
 改正点が少なかったためか,平成21年に初めて出題範囲となった改正点の出題は下記の1問だけでした。しかし,過去の改正点で出題のものが前年に続き,出題されています(下表参照)。

 平成22年も,新たに出題範囲となる改正点は比較的少ないので,やはり過去の改正点でまだ出題されていないものにも留意しておく必要があるでしょう。過去問出題歴がないということは当然,過去問題集にも掲載がなく,基本書でも説明が簡略になっているか,記述そのものがないということがあるからです。重点的に対策を練る必要があります。

1 平成21年に初めて出題範囲となった改正点 
宅建業法  問33肢1  35条の重要事項(歴史的風致形成建造物)

2 過去の改正点の出題
●民法       抵当権消滅請求 問6

●法令上の制限     建築基準法 問18 準都市計画区域,構造計算適 合性判定,指定確認検査機関

●宅建業法    重要事項説明 問33・肢2 媒介業者に石綿の調 査義務はない。


 22年度試験の対策としては,本誌の国家試験改正法講座などを活用するとともに,過去の改正点についても不安のないようにしておきたいものです。
 平成22年に初めて試験範囲となる改正点は,税法を除けば,毎年のように大量の改正点があった2,3年前までと比べれば少ないので,落ち着いて学習できるはずです。

それでは,今年の出題内容の特徴を各分野別にみていきます。
1 権利関係
●正解肢の出題歴と難易度
 正解肢に出題歴(関連出題を含む)があるものは14問中12問(20年度は16問中12問)で,初出題は2問でした。

 しかし,過去問に出題歴があり,さほど難度の高いものではなくても,頻出問題とはいえないため,全体的に例年並みであっても(正解肢以外の選択肢も大半に過去問出題がある。初出題は少ない),受験者によっては難しく感じたかもしれません。実際,問3(賃料債権の消滅時効),問6(抵当権消滅請求),問9(負担付き贈与,実質的に初出題),問13(公正証書による規約)は自己採点集計での正答率が極端に低いもの(30%前後)になっています。

○5年以内に出題歴(4問):
    問1(錯誤・動機の表示13-2-3*),問5(物上代位17-5-1,3),問8(解除前の第三者の権利保護要件16-9-1),問12(期間の定めのない建物賃貸借・使用貸借17-10-4,8-12)

;○6年前~10年前に出題歴(3問):
    問4(公道に至るための通行権13-3-1),問7(法定地上権14-6-2),問13(公正証書による規約13-15-1*)

○10年超前に出題歴(5問)
   :問2(未成年の代理人4-2-1),問3(催告と消滅時効の中断,元-2-2*),問9(負担付き贈与と瑕疵担保責任10-9-3*),問10(代金支払拒否権2-6-2),問11(法定更新の存続期間,昭61-13-3)
○初出題(2問)
  問6(抵当権消滅請求の手続),問14(表題部所有者の変更登記の申請

(凡例)16-9-1は,類題が平成16年問9肢1で出題,昭61-13-3は昭和61年に出題されたこと,*印は関連出題があったことを示します。

2)出題分野の問題数
 21年度では,3月に分野別出題数の変更がアナウンスされ,各分野の出題数は,権利関係は2問減少(16問から14問に),法令上の制限は1問減少(9問から8問に),税法は1問減少(3問から2問に),宅建業法は4問増加(16問から20問)しました。

○21年度の分野別出題内容   ( )内は出題数
権利関係(14問)
   民法(10),借地借家法(2),区分所有法(1),不動産登記法(1)
法令上の制限(8問):
   国土利用計画法(1),都市計画法(2),建築基準法(2),宅地造成等規制法(1),土地区画整理法(1),農地法(1)
宅建業法(20問)
   出題項目は,例年とほぼ同じ。
税法・鑑定(3問)
   登録免許税(1),印紙税(1),地価公示法(1)
その他(5問)
   住宅金融支援機構(1),景品表示法(1),統計(1),建物(1),土地(1)


 22年度も各分野の出題数は今年と同様と思われますが,各分野内での出題構成(各法令の出題数)については変更の可能性があります。

1:はじめに
 本稿執筆時点では,まだ合格発表がされていないので,21年度の合格基準点,合格者数とも分かりません。現在判明していることから,21年度宅建試験の出題形式・傾向を分析・整理して,22年度の試験に向けた試験対策の注意点をまとめていきます。

2:21年度試験の総括
(1)受験者の動向   5問免除者・一般受験者とも減少

 21年度の宅建試験は10月18日(日)に実施され,全体の申込者24万1,944人(前年より1万8,647人減),受験者(速報値)19万5,503人(前年より1万3,912人減)で,ともに減少しています。また,一般受験者(速報値20万1,185人),

5問免除の登録講習修了者(速報値3万6,607人,全受験者の18.7%)とも,やはり減少しています。減少したのは,リーマン・ショックや不動産業界の不況によるとみられます。22年度もこの減少傾向は続くものとみられます。

〔最近3年間の推移〕
 18年度から20年度の全体の合格率は約16~17%です。しかし,一般受験者の合格者数は約2万6,000人前後ですが,登録講習修了者※の合格者数は合格者の中での占有率が約25%になっています。

問12 宅地建物取引業者Aの媒介により,売主Bと買主Cとの間に宅地の売買契約が締結された場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば,誤っているものはいくつあるか。なお,この問において,「契約書面」とは法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面をいう。

ア Cが宅地建物取引業者である場合,Aは,Cの承諾を得れば,Cに対する契約書面の交付を省略することができる。

イ Aは,特約がない限り,Bに対して契約書面の交付をする必要はない。

ウ Aは,Cに対して契約書面を交付するにあたり,取引主任者をしてその内容を説明させる必要はない。

1 なし  2 一つ    3 二つ  4 三つ 

問11 宅地建物取引業者Aが,建物の貸借の媒介に際して行う宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。

ア 当該建物が建築工事完了済のものである場合でも,Aは,台所,浴室,便所その他の当該建物の設備の整備の状況について,借主に説明しなければならない。

イ 当該貸借が借地借家法第38条第1項に規定する定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)である場合でも,貸主がその内容を書面で説明すれば,Aは,定期建物賃貸借である旨を借主に説明しなくてもよい。

ウ 当該貸借が定期建物賃貸借でない場合には,契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項について,借主に説明しなくてもよい。

1 ア,イ  2 ア,ウ   3 イ,ウ  4 ア,イ,ウ 

問10 宅地建物取引業者Aが建物に係る信託(Aが委託者となるものとする。)の受益権を販売する場合において,宅地建物取引業法第35条の規定に基づいてAが行う重要事項の説明に関する次の行為のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはいくつあるか。

ア Aは,当該信託財産である建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人を説明しなければならない。

イ Aは,当該信託財産である建物に係る都市計画法,建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要を説明しなければならない。

ウ Aは,当該信託財産である建物が建築に関する工事の完了前のものであるときは,その完了時における形状,構造を説明しなければならない。

1 一つ  2 二つ    3 三つ  4 なし

問9 宅地建物取引業者Aが,マンションの分譲に際して行う宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,誤っているものはいくつあるか。

ア 当該マンションの維持修繕の実施状況が記録されているときは,その旨を説明しなければならないが,当該記録の内容を説明する必要はない。

イ 当該マンションの計画的な維持修繕のための費用の積立ての内容は説明しなければならないが,所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額を説明する必要はない。

ウ マンションの管理の委託を受けている法人について,その商号又は名称は説明しなければならないが,その主たる事務所の所在地を説明する必要はない。

エ マンションの敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約があるときは,その旨を説明しなければならないが,その内容を説明する必要はない。

1 一つ  2 二つ  3 三つ  4 四つ 

問7 宅地建物取引業者が宅地の売却の媒介を依頼された場合において,依頼者に交付すべき媒介契約の内容を記載した書面に記載しなければならないものは,次のうちいくつあるか。

問5 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはいくつあるか。

問4 宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。


問3 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものの組合せはどれか。


はじめに
 近年の宅建試験では,個数問題や組合せ問題など,単純な四肢択一とは異なる形式の問題が数問出題されています。
 今回は,そのような形式を中心に,予想問題を20問作成しました。難しい問題も含まれていますので,解けない問題があっても構いません。本試験で難しい問題が出てもあわてないための訓練だと思って解いてみてください。

平成21年宅建試験解答番号

平成21年宅建試験解答番号をお知らせいたします。

 


2)大規模集客施設(平成19年11月30日施行)

≪ポイント≫
●大規模集客施設〈床面積が10,000平方m超の店舗,飲食店,劇場,映画館,演芸場,観覧場,遊技場,展示場,場外馬券売り場等〉(*6)は,(都市計画区域および準都市計画区域内の)

3 法令上の制限―用途規制関連の改正
(1)客席部分の床面積の合計が200平方m以上の映画館(平成19年11月30日施行)


2 市街化調整区域の開発区域外の区域の建築許可不要の変更

≪ポイント≫
 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内で,都道府県知事の許可を受けなければならないものとして,以下の2つが追加された。

2)市街化調整区域の開発許可・建築許可に関する改正(平成19年11月30日施行)
① 法34条の開発許可基準の変更


2  国等が行う開発行為も原則として開発許可が必要に(平成19年11月30日施行)


2 法令上の制限―開発許可関連の改正(都市計画法)
(1)開発許可の要否の変更(平成19年11月30日施行)
1 開発許可が不要な公益上必要な建築物の建築目的の定義変更


はじめに
 近年,宅建試験では直近の改正点が出題されています。今年も出題される可能性は高いと思われるので,ここでは,最近2年間の法令改正(民法の改正(*1)および税法その他の改正を除く)で,まだ未出題かつ試験対策上必須のもののアウトラインと予想問題をまとめていきます。

8――事務所等の規制

(1)従業者名簿の閲覧
〔基礎〕従業者名簿は,取引の関係者から請求があったときは閲覧に供しなければならないが,帳簿にその義務はない。


(3)みなし専任の取引主任者
〔基礎〕個人の宅建業者本人が取引主任者であるとき,または宅建業者が法人で,その役員(業務を執行する社員,取締役またはこれらに準ずる者)が取引主任者であるときは,その者が自ら主として業務に従事する事務所等については,その者は,その事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる(法15条2項)。


7――取引主任者の登録と設置

(1)再登録
〔基礎〕(登録が消除された後に)再登録は,宅建試験に合格した都道府県の知事に対してのみ申請することができる(法18条1項)。


6――宅建業者の届出

(1)変更の届出
〔基礎〕業務停止期間中であっても,変更の届出をしなければならない。


5)その他欠格要件に該当しないもの
〔基礎〕
1)欠格要件に該当する刑罰についての執行猶予期間*が満了すれば,刑の言い渡しそのものの効力がなくなり,刑に処せられなかったことになるので(刑法27条),免許を受けることができる。

5――宅建業者の欠格要件

(1)免許取消しが不正手段による免許取得等でない場合は欠格要件に該当しない


●国土交通大臣への届出と申請の経由先の違い
☆変更の届出・廃業等の届出
 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して届け出る。


4――国土交通大臣免許業者
(1)宅地建物取引業者名簿
〔基礎〕国土交通大臣免許業者については,国土交通省とその主たる事務所の所在する区域を管轄する都道府県に備えられる宅地建物取引業者名簿の双方に登載されている。


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