次に,管理業務主任者試験について見てみましょう。
【問 26】 共同住宅の外壁の劣化の種類と現象に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
1 ポップアウトとは,コンクリート内部の部分的な膨張圧によって,コンクリート内部が破壊された状態をいう。
2 エフロレッセンスとは,下地の可溶成分が表面に析出し,空気中の二酸化炭素ガス等との反応によって難溶性の白色物質が表面に沈着した状態をいう。
3 チョーキングとは,塗膜表面の劣化により,充てん材が離脱しやすくなり,表面が粉末状になった状態をいう。
4 はく落とは,浮いていたコンクリートが躯体からはがれ落ちた状態をいう。
肢1に関しては19年度のマンション管理士試験問37肢2で,「次のうち適切でないものはどれか。2 コンクリート内部の部分的な膨張圧......ポップアウト」として出題されています。
ようするに,ポップアウトとはどのような現象をいうのかを聞いているわけです。ただし,今回は,より細かく,「内部が破壊」となっているところが誤りとなっています。正しくは,「表面が」破壊された状態です。
肢2に関しては,同じく19年度のマンション管理士試験問37肢1で,「コンクリートのアルカリ骨材反応......エフロレッセンス」と聞かれ ています。また,14年度の管理業務主任者試験27問肢3で「白華とは,石材,コンクリート及びレンガ目地などの表面に浸出して結晶化した白い物質で,エ フロレッセンスとも呼ばれている」と聞かれています。
肢3に関しては,14年度のマンション管理士試験問39肢2で,「日光,雨水等の劣化外力によって,コンクリート表面の塗膜に粉末が生じ,白くなったチョーキングという症状」と聞かれています。
肢4に関しては,19年度のマンション管理士試験問37肢4に「コンクリートの中性化による鉄筋の腐食......剥落」と聞かれています。したがって,正解は1です。
もっと時間があれば,これ以外にも類似の問題はたくさん探し出すことができるでしょう。
長々と述べてきましたが,言いたいことは,「過去問を制するものは,試験を制する」ということです。
あるネットの書き込みを見たら,「過去問を7回も繰り返したのに落ちてしまった」と嘆いていました(まだ合格発表がないときです)。
「教科書を5回も読み返したのに,だめだった」「私は,来年は8回目の受験です」というのもありました。私は,「そんなことは,まずあり得ないのに」と思うのですが......。
以上のように,20年度のマンション管理士試験・管理業務主任者試験の傾向は,従来どおりといえます。
3.平成21年度の展望
20年度の試験は,従来どおりでした。21年度の試験が,これと異なるわけがありません。ただし,次のことに注意する必要があるでしょう。
第一に,新傾向とも思える組み合わせ型および個数型の問題が多くなったことです。マンション管理士試験でも管理業務主任者試験でも5問程度の出題があります。これが近年定着し,または増加しつつあります。
管理業務主任者試験で,見てみましょう。
【問 30】 委任状又は議決権行使書の取扱いに関する次の記述のうち,適切なものはいくつあるか。
ア 総会の議案書には,「委任状の提出がない場合には,議案に賛成したものとみなします。」と記載したが,それに従わず,賛成票として数えなかった。
イ 委任状の受任者の欄に「理事長」と記載した委任状を有効なものとして取り扱った。
ウ 議決権行使書面に「賛成」の表示と部屋番号・氏名の記載はあるが,押印欄に押印がない書面を提出した組合員の議決権を賛成票として数えた。
エ 議決権行使書面の部屋番号・氏名の記載はあるが,「賛成」,「反対」のいずれにも意見表示がない書面を提出した組合員の議決権を賛成票として数えなかった。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
正解は4です。すべて適切です。
これを4と自信を持って,答えられる人はどれくらいいるでしょうか。「どれか1つくらい不適切なものがありそうだ」と誰もが思ってしまいます。
個数型の問題は,正確な知識がなければ解くことができません。どうせ間違えるなら,2箇所間違えれば数が合うことはあります。組み合わせ型の問題は,それもできませんが......。
これに対して,従来の過去問は,4肢択一型であり,その多くが正誤問題です。この正誤問題の最大の特徴は,「消去法」により正解を導き出すことができるという点です。そのため,不正確な知識でも正答することができ,「それでいいのだ」と誤解してしまいます。マンガの世界ではそれでもいいのですが,試験の世界では,それではだめなのです。
正誤問題は,4つの中で,相対的に正しい(誤っている)ものを選べばよいので,知識が不正確でも解答できるということを忘れてはいけません。組み合わせ型や個数型の問題では,それができません。したがって,そのような新傾向の問題に対処するためには,正確な知識を身につける努力が必要です。

