これに対して,管理業務主任者試験の問題を見てみましょう。
【問 3】 契約の解除に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 解除の意思表示は,撤回することができない。
2 債務が履行不能になった場合に,履行不能について債務者の責めに帰する事由がないときには,債権者は解除することができない。
3 解除権の行使により,当事者の一方が金銭を返還するときには,受領した時からの利息を付す必要はなく,受領した額を返還すれば足りる。
4 債務者が数人ある場合に,債権者が契約の解除をするときには,債務者の全員に対してしなければならない。
正解は3です。
肢1は,民法第540条第2項「解除の意思表示は,撤回することができない」です。
肢2は,民法第543条「履行の全部又は一部が不能となったときは,債権者は,契約の解除をすることができる。ただし,その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない」です。
肢3は,民法第545条第2項「......の場合において,金銭を返還するときは,その受領の時から利息を付さなければならない」です。
肢4は,民法第544条第1項「当事者の一方が数人ある場合には,契約の解除は,その全員から又はその全員に対してのみ,することができる」です。
すべて,民法の条文(それも基本的といってもよい)を知っていれば解ける問題です。
このように,こと民法に限っていえば,マンション管理士試験の問題のほうが管理業務主任者試験の問題よりも難しいといえます(ただし,管理業務主任者試験の問題にも,20年度の問1のように難しい問題もあります)。
では,マンション管理士試験と管理業務主任者試験は,まったく別の試験と考えるべきでしょうか。
答えは,否です。マンション管理士試験と管理業務主任者試験は,内容的にも難度的にも,その8割は共通しています。したがって,マンション管理士試験に出題されたところが翌年度の管理業務主任者試験に出題される,といったことはザラにあるのです(その逆も)。
4.21年度に向けての学習法
(1)テキスト
まず,テキストは,定評のあるがっしりとしたテキストを選ぶのが無難です。いずれの試験も出題の範囲が無制限に広いことが特徴ですので,情報量の少ないテキストでは無理があります。
すなわち,マンション管理士試験の場合は『マンション管理の知識』(住宅新報社)が最良でしょう。管理業務主任者試験の場合は『管理業務主任者の知識』(住宅新報社)が最良です。
しかし,「これでは分厚くてとても......」という人もいるでしょう。その場合は『楽学マンション管理士』(住宅新報社),『楽学管理業務主任者』(住宅新報社)が初心者向けです。おまけに『ひとりで学べるマンション管理士・管理業務主任者合格テキスト』(実務教育出版・小川多聞著)も初心者向けです。
いずれも,5回も読む必要はありません。1回通して読み,あとは問題を解く場合に参考として使えばいいでしょう。
さらに,いずれのテキストを使用しても,本試験に出題された情報がすべて記載されているわけではありません(特に初心者向けの場合)。このような場合は,テキストに過去問の情報を書き込むことが必要になります。過去問の情報で,テキストのどこに書いてあるかが分からないときは,どんどんテキストに書き込みましょう。
テキストには,過去問の情報の7割以上は記載されているのですが,どこに書いてあるかが分からないことが多いのです。その場合に,テキストの該当箇所を探していると,天文学的な時間が必要になります。
私なども,「どこに書いてあるか探していたら,結局1冊読んでしまった」などということがあります。まあ,それはそれなりに勉強になるのですが,それでは時間がいくらあっても足りません。したがって,どんどん書き込みをして,後で該当箇所が分かったら,書き込みを消してもいいのです。
(2)問題集
次に,問題集に関してです。この文章の当初から述べてきましたが,問題集は「過去問題集」を使ってください。過去問こそが,学習の初めで,途中で,すべてです。
過去問題集はいろいろありますが,『楽学マン管・管理主任者合格塾』(住宅新報社),『マンション管理士再現問題集』(住宅新報社),『管理業務主任者再現問題集』(住宅新報社),『ひとりで学べるマンション管理士・管理業務主任者過去問テーマ別問題集』(実務教育出版・小川多聞著)などがよいでしょう。
過去問題集は7回解く必要はないでしょうが,300問程度の問題集でしたら,最低5回は解いてほしいものです。その場合に,必ず「どうして間違いなのか」の理由をつけて解いてください(正しい肢はよい)。7回解いても受からなかった人は,そこのところができていなかったのでしょう(たぶん)。
先に書いたように,マンション管理士試験と管理業務主任者試験は,そのほとんどが重なっているので,両方の問題集を解くことをお勧めします。
(3)参考
インターネットのお勧め。マンション管理士試験・管理業務主任者試験いずれも,その範囲が膨大であることが受験のネックでした。
そこで,問題集を解きながら,分からないところが出てきたら,インターネットで調べることをお勧めします。特に,建築関係の問題については,門外漢にはチンプンカンプンな言葉が氾濫しています。このような言葉に関しては,テキストで調べるよりもインターネットで調べたほうが具体的で理解しやすいことも多くあります。
さらに,法律関係についても,インターネットで,法令にあたることができます。文明の利器は使わない手はないと思いますので,若い人はもちろん,古い人間もおそれず使ってみてください。特に学習に飽きたときなどにネットを開けば,よい気分転換にもなるでしょう。
これに関連して,「六法全書が必要か」という質問があります。しかし,ことマンション管理士試験・管理業務主任者試験に関しては,六法全書は役に立ちません。聞かれることが専門的すぎて,とても市販の六法では対応しきれていないからです。やはり法律の条文を見てみたいと思ったら,インターネットで調べてみることがよいでしょう。

